2017 / 06
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12月6日の「グレコ・ブレルを歌う」でジャック・ブレルの "Voir un ami pleurer" を歌うことにした。フランス語で歌うからには歌詞の内容を理解せねばならぬ。だがしかし旋律はシンプルで美しいものの、歌詞は厄介で難しい。

タイトルは日本では「涙」と呼ばれるのが一般的だが、直訳すれば「1人の泣く友を見ること!」となるのだろうか?各連節の最後にこの言葉が入るがいささか唐突にも感じられる。

この曲は1977年に発表されたブレルの最後のアルバム "Brel" 「ブレル」、 後に "Les Marquises" 「レ・マルキーズ」と呼ばれる12曲のLP盤に収められている曲で、書かれたものの永遠に公開されないという6曲は知る由もないが、それを除けば僕が一番好きな曲である。

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この歌の背後にあるのは戦争だろう。アイルランド紛争は明記されているが、もはやアメリカはいないと言うのは「アメリカはベトナムから撤退した」ことを意味するのか、それとも「アメリカの存在と魅力が薄くなった」と言いたいのだろうか?
「金には匂いがない」というのも何かを暗示することなのだろうが、それも良く分からない。
2行目以降、数々の名詞が並ぶが、すべて Il y a(・・・がある)が省略されていると考えた。

理不尽な戦争に向き合う人間の無力さや愚かさが語られているようも見受けられるが、それらの人々に対してもブレルの寛大な心を感じてしまうのは、彼もまた多くの事で傷付き、苦しみ、世の中の様々な現象に歯がゆさを感じたからに違いない。

理解をするのがとても難しく、カザンなりの解釈なので間違えもあるだろうと思うが、おおよそこんな内容かな?と言う程度に留めて欲しい。

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Voir un ami pleurer Jacques Brel  涙する友を見る  ジャック・ブレル

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Voir un ami pleurer  涙する友を見る     《宇藤カザン訳》

Bien sûr il y a les guerres d'Irlande
Et les peuplades sans musique
Bien sûr tout ce manque de tendres
Il n'y a plus d'Amérique
Bien sûr l'argent n'a pas d'odeur
Mais pas d'odeur me monte au nez
Bien sûr on marche sur les fleurs
Mais voir un ami pleurer!

もちろんアイルランド紛争があり
そして音楽を知らぬ人々がいて
もちろん優しさに欠ける数々の出来事がある
もはやアメリカはいなく
もちろん金には匂いが無いから
鼻につく匂いもなく
もちろん人は花を踏みつけて歩く
けれども涙する友が見える!

Bien sûr il y a nos défaites
Et puis la mort qui est tout au bout
Nos corps inclinent déjà la tête
Étonnés d'être encore debout
Bien sûr les femmes infidèles
Et les oiseaux assassinés
Bien sûr nos cœoeurs perdent leurs ailes
Mais mais voir un ami pleurer!

もちろん僕たちは敗北することもあり
そして行き着くところには死がある
すでに頭をたれている僕たちの体が
まだ立っていられるのが不思議なくらいだ
もちろん不実な女たちがいれば
殺された鳥たちもいて
もちろん僕たちの心はその翼を失う
けれどもけれども涙する友が見える!

Bien sûr ces villes épuisées
Par ces enfants de cinquante ans
Notre impuissance à les aider
Et nos amours qui ont mal aux dents
Bien sûr le temps qui va trop vite
Ces métro remplis de noyés
La vérité qui nous évite
Mais voir un ami pleurer!

もちろん50歳の子供たちによって
疲弊した街々があり
それらを助けられない僕たちの非力さがあり
そして疼く歯を抱える僕たちの愛情がある
もちろん時はあまりに早く過ぎ去り
地下鉄は溺れた人々であふれ
僕たちを避ける現実がある
けれども涙する友が見える!

Bien sûr nos miroirs sont intègres
Ni le courage d'être juifs
Ni l'élégance d'être nègres
On se croit mèche on n'est que suif
Et tous ces hommes qui sont nos frères
Tellement qu'on n'est plus étonnés
Que par amour ils nous lacèrent
Mais voir un ami pleurer!

もちろん僕たちの鏡には偽りが無い
ユダヤ人である勇気もなければ
黒人である優雅さも持ち合わせていなく
自分がろうそくの芯だと思い込んでも蝋でしかない
僕たちの兄弟であるこれらの人々の誰もが
愛ゆえに僕たちをずたずたに引き裂くとしても
もはや驚くには当たらない
けれども涙する友が見える!

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Author:Kazan





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東京芸術大学及び同大学院卒業 フランス政府留学生としてパリ高等美術学校で学ぶ。シャンソン歌詞の翻訳をしながらシャンソンを歌う。

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