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バルバラ Barbara の「黒いワシ」"L'aigle noir" です。

この「黒いワシ」の意味するところが重要になるのだが、バルバラは黒衣に身を包み歌い、彼女の死後に発表された自伝のタイトルは "Il était un piano noir..." 「それは黒いピアノだった」 であるから、黒は彼女にとって特別な色であったことは間違いない。

色彩的に言えばこの歌は黒をベースにルビーの赤、ダイアモンドの青、王冠の黄金などの小さいながら強い色が散りばめられ、青い空と共に美しい詩の世界を作り出している。「黒いワシ」は何も答えずに去っていくが、それは「神」を意味しているように思えなくもないのだが、、、

バルバラはリピートした後、「夜の色をした4枚の羽根・・」の部分を歌わずに最初の歌詞を繰り返している。なぜでしょう?あまりに切実な個人的な思いだからでしょうか?

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ところで原詩には黒いマントをつけた王子様は登場しない。岩谷時子の創作で黒いワシを王子様に仕立てている。日本語訳のシャンソンにはこういうことはよくあり、甘く切なく味付けしないと受けないからでしょう。それでは黒いワシは誰か?バルバラの死後発表された自伝には父親との関係が書かれており、ワシが父親の存在であると書かれていないものの全く影響が無いとも思えない。しかし彼女が体を壊しながらも1年をかけて作った曲は父親の死を描いた「ナント」でしょう。

何も応えない黒いワシは神の存在のようにも思える。1970年作曲だがまだサルトルの実存主義の影もあった時代でもある。まあ聴く人、歌う人それぞれのイマジネーションに任せばよいのだが、ワシ自体夢の中の存在で実際には存在していなかったかもしれないけれど、重く大きな存在。子供の時の他愛ない夢に対立し、それを奪う存在と解釈することも出来る。物語は解決しないまま、途切れ途切れになりフェイドアウトする。

またバルバラには「黒いピアノ」という小品があり、そこでも鳥が登場するので、バルバラにとって鳥は彼女の心を打ち明けられる友達なのでしょう。参考までに末尾に訳しておきます。

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L'aigle noir  Barbara  黒いワシ バルバラ

L'aigle noir  Barbara  黒いワシ バルバラ  Live 1970

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L'aigle noir  黒いワシ     《宇藤カザン訳》

Un beau jour, ou peut-être une nuit,
Près d'un lac je m'étais endormie,
Quand soudain, semblant crever le ciel,
Et venant de nulle part,
Surgit un aigle noir,

昼だったか、それとも夜だったか
湖のほとりでまどろんでいると
突然、空を引き裂くように
どこからともなく黒い鷲が現れた

Lentement, les ailes déployées,
Lentement, je le vis tournoyer,
Près de moi, dans un bruissement d'ailes,
Comme tombé du ciel,
L'oiseau vint se poser,

ゆるやかに、翼を広げ
ゆるやかに、旋回するのが見える
羽ばたく音が近づいたかと思うと
あたかも空から落ちるように
その鳥は舞い降りた

Il avait les yeux couleur rubis,
Et des plumes couleur de la nuit,
A son front brillant de mille feux,
L'oiseau roi couronné,
Portait un diamant bleu,

目はルビーのように燃え
翼は夜の闇の如く
額はあまたの炎に輝き
青いダイヤモンドが付いた
冠を頂いた王の鳥

De son bec il a touché ma joue,
Dans ma main il a glissé son cou,
C'est alors que je l'ai reconnu,
Surgissant du passé,
Il m'était revenu,

鳥はくちばしを私の頬に触れ
首を私の手の中に滑り込ませた
それはその鳥の記憶を呼び覚まし
突然過去の想い出が甦った

Dis l'oiseau, ô dis, emmène-moi,
Retournons au pays d'autrefois,
Comme avant, dans mes rêves d'enfant,
Pour cueillir en tremblant,
Des étoiles, des étoiles,

ねえ、鳥よ
ああ、私を連れてってよ
懐かしい過去の国に戻ろう
以前に、子供の頃に夢に見たように
慄きながら
たくさんの星を摘みに行こう

Comme avant, dans mes rêves d'enfant,
Comme avant, sur un nuage blanc,
Comme avant, allumer le soleil,
Etre faiseur de pluie,
Et faire des merveilles,

L'aigle noir dans un bruissement d'ailes,
Prit son vol pour regagner le ciel,

以前の子供の頃の夢のように
以前のように白い雲に乗り
以前のように太陽を点し
雨を降らせたりして
素敵なことをたくさんしようよ

黒い鷲は羽音を立てると
空に向かって飛び去ってしまった

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Quatre plumes couleur de la nuit
Une larme ou peut-être un rubis
J'avais froid, il ne me restait rien
L'oiseau m'avait laissée
Seule avec mon chagrin

夜の色をした4枚の羽根
一粒の涙か、ルビーなのか
寒さを覚え
鳥は悲しみだけを残し
私を一人置いて去って行った

Un beau jour, ou était ce une nuit,
Près d'un lac je m'étais endormie,
Quand soudain, semblant crever le ciel,
Et venant de nulle part,
Surgit un aigle noir,

昼だったか、それとも今晩だったのか
湖のほとりで、まどろんでいると
突然、空を引き裂くように
どこからともなく黒い鷲が現れた

Un beau jour, une nuit,
Près d'un lac, endormie,
Quand soudain,
Surgissant de nulle part
Surgit un aigle noir,
Un beau jour, une nuit,
Près d'un lac, endormie,
Quand soudain,
Il venait de nulle part,
Il a surgit, l'aigle noir..
Un beau jour, une nuit,
Près d'un lac, endormie,
Il venait de nulle part,
Il surgit, l'aigle noir..

昼だったか、それとも夜だったか
湖のほとりで、まどろんでいると
どこからともなく
黒い鷲が突然現れた
昼だったか、それとも夜だったのか
湖のほとりで、まどろんでいた
どこからともなく
黒い鷲が突然現れた
昼か、夜に
湖のほとりで、まどろんで
どこからともなく
黒い鷲が突然現れた

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Le piano noir  黒いピアノ     《宇藤カザン訳》

Quand je serai morte,
Enterrez-moi
Dans un piano noir comme un corbeau,
Do, ré, mi fa, sol, la, si, do.
Quand je serai morte,
Ecrivez dessus, comme il faut,
" Elle faisait bien son numéro,
Do, ré, mi fa, sol, la, si, do. "
Quand je serai morte,
Veuillez alors me mettre à l'eau
Sur l'eau d'un fleuve
Ou d'un ruisseau,
Do, ré, mi fa, sol, la, si, do.
Quand je serai morte,
S'il vogue, vogue, mon piano.
Viendront s'y poser les oiseaux,
Do, ré, mi fa, sol, la, si, do,
Viendront s'y poser les oiseaux,
Viendront s'y poser les oiseaux.
Quand je serai,
Quand je serai,
Quand je serai
Morte...

私が死ぬ時には
カラスのように黒いピアノの中に入れて
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド
私が死ぬ時には
その上に、しかるべく記して
「彼女はよく滑稽な振る舞いをした
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」
私が死ぬ時には
お願いだからどうか私を水に浮かべて
大河でも小川でもいいから
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド
私が死ぬ時には
もしも私のピアノが漂っていたら
そこに鳥たちが舞い降りるでしょう
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド
そこに鳥たちが舞い降りるでしょう
そこに鳥たちが舞い降りるでしょう
私が、私が、私が
死ぬ時には・・・

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